第27記 闇は尚深く
ユウは治療道具の入った籠 を抱え、村の中を疾走する。
「マツザワさん……! どうか、ご無事で……!」
先刻届いたアキラの式鳥[ には、マツザワの窮地が記されていた。
早く、一刻も早く。
そう足を動かす一方で、彼女の心には蟠[ りがあった。
例え敵であろうと、怪我人を置き去りにして逃げるのは彼女にとって苦だったのだ。
鮮やかな緋色の長髪が彼女の脳裏を掠める。
◇ ◇ ◇
先刻まで自分を苦しめていたヒウガが、片膝を付き肩で息をしている。
緋色隊の隊長と言っていた彼の力は、アキラたちと同等か、或[ いはそれ以上のはずだ。
「まぁ、流石に隊長なだけあるね。僕も少し本気だそうかな」
ヒウガを圧倒しているダークマジシャン、エレクは、黒バラの花びらを一枚もぎ取る。
「サンド・アラクラン」
宙に舞った花弁から紫光[ が迸[ り、漆黒の蠍[ が顕現した。
「僕見てるから、この子とやってね。野郎には触れたくないからさ」
「舐めやがって……!」
ヒウガの両腕を多う紅き爪に、魔力が集まる。
向かってくる蠍に渾身の一撃を叩き込むが、蠍は爪が触れると同時に黒い砂に変化し、掠りもしない。
代わりに、ヒウガの右腕が黒砂[ となって崩れていく。
やはりダークマジシャンは桁違いの実力なのだ。たかが隊長レベルが敵う相手ではなかった。
ユウが知っている中で、ダークマジシャンの襲来は過去二度。
一度目は、ミズナとリュウジの母親、キヨミが命を落とした下弦の乱。
二度目は、およそ十年前の上弦の乱。
どちらもユウは幼過ぎたため、後に聞かされた話だが、十年前に彼女はエレクに遭っている。
あの時、ショウゴはエレク相手に苦戦を強いられたのだ。
天を仰いだユウの瞳に映るものは、どす黒い満月。
これが、偶然とは思えない。
下弦の夜、上弦の夜と来て、今宵は満月の襲来だ。
嫌な予感がした。不安が心に影を落とす。仲間の無事が気がかりだった。
だが、この場から、果たして姿を消していいものなのだろうか。
普段の彼女なら、迷うことなく味方の救護に行くだろう。
しかし、目の前で次々と砂に変貌していく人々、そして、仲間を殺され激昂するヒウガに、ユウの心は揺れていた。
瞼を閉じて、今一度己の立場を鑑[ みる。
治療師である前に、スワロウ族の一員だ。敵に、情を移してはならない。
足元の籠を拾い上げ、味方の救援に向かう決意をする。
その時、一羽の白い鳥がユウの前に舞い降りた。
◇ ◇ ◇
報[ せを受けて、兄と親友の元へと走り出してみたが、〝ヒウガ〟の名前が頭から離れなかった。
彼の名を、何処かで、誰かが、口にしていた。確かに、記憶の隅に在った名だ。
ヒウガ、ごめん……
「まさか……!」
一瞬足が止まり、背後を顧みる。
思い出した。あれは、あの人は。
しかし、立ち止まる猶予はない。時には、人を天秤[ に掛けなければならないこともあるのだ。
迷いを振り払い、再び駆け出す。自分にとってより大切な人を救うために。
だが、現実はいつも、思い通りにはならない。
逸[ る想いを胸に抱く彼女の視界に、凄惨な光景が飛び込んできた。
「アズウェル! アズウェル!!」
「ディオウさん!?」
空中に佇む巨大な髑髏に身体を打ち付ける度に、純白の美しい毛並みは赤黒いものに浸食されていく。
「ねぇ、ディオウ、もうやめてー!」
半泣きのラキィは、へたりと地面に座り込んでいた。
「ラキィさん、一体何が……」
「あんた、治療師の……!」
こくりと頷いて、ユウは次の言葉を待つ。
「アズウェルが、アズウェルがあの髑髏に食べられちゃったの!」
「そんな……!?」
「お願い、ディオウを止めて! あのばか、力ずくで止めなきゃずっと身体をぶつけ続けるわ!」
視線をラキィからディオウに移す。
痛々しい姿のディオウは、傷などものともせずにひたすら叫び続けている。
「アズウェル!!」
ユウは籠から小瓶を取り出すと、ラキィに努めて冷静に言った。
「ディオウさんの怪我を治します……!」
◇ ◇ ◇
どうしてあの人が此処にいる……?
目の前で死んだはずの〝母親〟に、ショウゴの両目は釘付けられていた。
『ショウゴ! あれは幻だ!』
ソウエンが必死に訴えかける。
『もう十数年も前に死んだ人間が生きているわけがないだろう!?』
「そんなことないヨ。ワタシの仮面はネ、その仮面のニンゲンの顔に化けれるんだヨ。そしてさっきも言ったように、コレはニンゲンそのものなんだヨ」
不気味な声の発信源は、ゼノンではない。何故なら、ソウエンには聞こえていないからだ。
ショウゴの頭の中だけに響くそれは、相方の言葉をことごとく否定し、過去の傷を抉る。
「ホラ、思い出してみなヨ。あの時、キミに見えた敵はどんなヤツ……?」
「あの時いたのは……」
ショウゴの目が大きく見開かれ、呻[ き声にも似たものが震える唇から零れ落ちる。
「嘘……だ……」
『おい、しっかりしろ!!』
ソウエンが肩を揺するが、両膝をついたショウゴは、相方を見ていない。何処か遠い彼方を愕然と見つめていた。
反応のないショウゴに、ソウエンは苦虫を噛み潰したように唸る。
『この馬鹿が……!』
色を失ったショウゴは、今にも倒れそうだった。
どうする。これではクエンたちに助太刀するどころの話ではない。
目の前の敵は微笑を浮かべると、その顔の持ち主の声で言う。
「久しぶりね、ショウゴ」
瞠目するソウエンの傍らで、ショウゴの手から刀が滑り落ちた。
◇ ◇ ◇
淡黄の体躯が、突如震えを帯びる。
「あや、しょうごが……!」
焦燥の色に染まるライリンの顔を見つめ、アヤは忌々しげに舌打ちした。
「馬鹿が。未だに引きずってんのか」
だが、戻るわけにはいかないのだ。ここで己の存在を奴らに知られては、今までの努力が水の泡となる。
アヤは苛立ちを胸にしまい込み、自己暗示をかける。
大丈夫だ。ソウエンが傍らにいる。ソウエンなら、ショウゴを守ってくれる。
「りん怖い。すごく怖いにょ……」
不安を煽るライリンの頭をわしゃわしゃと掻き回して、アヤは胸に渦巻く思いを音にする。
「ソウエンがいる。あのへたれは一度燃やされた方がいい」
「でもでもっ」
「リン」
凛とした声音でライリンの抗議を遮[ り、アヤは頭[ を振った。
「託された命[ を忘れたのか。アタシらは戻れないんだ」
そう、自分たちには大きな命がある。そのために、自分は全てを捨ててここにいるのだから。
今戻れば、自分の存在価値など無くなってしまう。
「敵は元を絶たないとね……」
呟かれた言葉に、ライリンは押し黙った。
今のアヤに何を言っても無駄だ。
本音は今すぐにでも駆けつけたいのだろう。その気持ちを殺している使い手に、はぐれ者の自分が何を言えようか。
しょんぼりと項垂[ れるライリンを抱え上げ、アヤは歩調を早めた。
「リン、大丈夫だ。ソウエンを信じろ」
まるで己に言い聞かせるように呟くアヤに、ライリンは告げることができなかった。
ソウエンの気が途絶えたと。
◇ ◇ ◇
一瞬クエンの反応が鈍ったことを、ピエールは見逃さなかった。
アキラの風がクエンを八つ裂きにする。
体中に数多[ の裂傷が刻まれ、ルーティング諸共竹林の中へ吹き飛ばされた。
「兄さま! クエン!」
ミズナが声を上げるが、クエンの耳には届かない。
「どうした、クエン」
訝[ るルーティングにクエンは呆然と呟いた。
『ソウエンが……消えた』
「何だと!?」
目を剥くルーティングは、背後に殺気を感じて咄嗟にクエンを突き飛ばす。
『相棒!』
ルーティングの左肩を玄鳥が貫く。
頬に付いた返り血を拭い、アキラは冷たく微笑んだ。
クエンは自分の情けなさに吐き気がした。
今、一気に劣勢になった。その原因を作ったのは僅かな気の迷い。
歯を食いしばり、ルーティングの肩越しにアキラの顔面を蹴り飛ばす。
アキラは、そう簡単に玄鳥を手放してはくれない。
アキラと共にルーティングの肩から離れた白刃は朱に染まり、宙に血飛沫が舞い散った。
『ごめん、俺のせいで……』
「大丈夫だ」
即答したルーティングの瞳は、まだ諦めていなかった。
「クエン、何があった」
静かに問う使い手に、クエンは泣き出しそうな表情になる。
守り神の中で一番感情を表に出すクエンは、鬼神というより少年の方が似合っている。頼りがいのある相棒だが、弟分のようなものだ。
そんな埒[ もないことを思い、ルーティングは気を落ち着かせる。恐らくクエンが言葉にするのは、自分が描く最悪の状況だ。
『ソウエンが……ソウエンがどこにもいないんだ。気が感じられない』
「ショウゴが蒼焔を手放したと言うことか」
『違うんだ。放しただけなら俺は感じることができる。そうじゃねぇんだ。ソウエン自体の存在が感じられねぇんだ』
絞り出す言葉はとても弱々しかった。
勝ち目が刻一刻と薄れていく。
「……そうか」
平静を装っているルーティングも、立ち上がるのがやっとの状態だった。
今は堪え忍ぶしかない。
徐々にだが、アキラの動きも遅くなってきた。
感情や感覚がないとはいえ、身体には確実にそれまでの痛みや疲労が積み重なっている。降臨を続けていられるのも後僅かだろう。
降臨が解かれれば、こちらにも勝機が見えてくる。
「クエン、まだ、諦めるな……!」
『わかって……る……!』
目眩[ と戦いながら、ルーティングは紅焔を振り続けた。
太刀音が一つ響く度に空の闇が深まり、全てを呑み込もうと黒雲が蠢[ く。
暗闇の中でピエールが口端を吊り上げた。
「サテ、もうじき終演デスね」
風と炎の影に身を潜ませている印[ に、まだルーティングたちは気付いていなかった。
「マツザワさん……! どうか、ご無事で……!」
先刻届いたアキラの
早く、一刻も早く。
そう足を動かす一方で、彼女の心には
例え敵であろうと、怪我人を置き去りにして逃げるのは彼女にとって苦だったのだ。
鮮やかな緋色の長髪が彼女の脳裏を掠める。
◇ ◇ ◇
先刻まで自分を苦しめていたヒウガが、片膝を付き肩で息をしている。
緋色隊の隊長と言っていた彼の力は、アキラたちと同等か、
「まぁ、流石に隊長なだけあるね。僕も少し本気だそうかな」
ヒウガを圧倒しているダークマジシャン、エレクは、黒バラの花びらを一枚もぎ取る。
「サンド・アラクラン」
宙に舞った花弁から
「僕見てるから、この子とやってね。野郎には触れたくないからさ」
「舐めやがって……!」
ヒウガの両腕を多う紅き爪に、魔力が集まる。
向かってくる蠍に渾身の一撃を叩き込むが、蠍は爪が触れると同時に黒い砂に変化し、掠りもしない。
代わりに、ヒウガの右腕が
やはりダークマジシャンは桁違いの実力なのだ。たかが隊長レベルが敵う相手ではなかった。
ユウが知っている中で、ダークマジシャンの襲来は過去二度。
一度目は、ミズナとリュウジの母親、キヨミが命を落とした下弦の乱。
二度目は、およそ十年前の上弦の乱。
どちらもユウは幼過ぎたため、後に聞かされた話だが、十年前に彼女はエレクに遭っている。
あの時、ショウゴはエレク相手に苦戦を強いられたのだ。
天を仰いだユウの瞳に映るものは、どす黒い満月。
これが、偶然とは思えない。
下弦の夜、上弦の夜と来て、今宵は満月の襲来だ。
嫌な予感がした。不安が心に影を落とす。仲間の無事が気がかりだった。
だが、この場から、果たして姿を消していいものなのだろうか。
普段の彼女なら、迷うことなく味方の救護に行くだろう。
しかし、目の前で次々と砂に変貌していく人々、そして、仲間を殺され激昂するヒウガに、ユウの心は揺れていた。
瞼を閉じて、今一度己の立場を
治療師である前に、スワロウ族の一員だ。敵に、情を移してはならない。
足元の籠を拾い上げ、味方の救援に向かう決意をする。
その時、一羽の白い鳥がユウの前に舞い降りた。
◇ ◇ ◇
彼の名を、何処かで、誰かが、口にしていた。確かに、記憶の隅に在った名だ。
「まさか……!」
一瞬足が止まり、背後を顧みる。
思い出した。あれは、あの人は。
しかし、立ち止まる猶予はない。時には、人を
迷いを振り払い、再び駆け出す。自分にとってより大切な人を救うために。
だが、現実はいつも、思い通りにはならない。
「アズウェル! アズウェル!!」
「ディオウさん!?」
空中に佇む巨大な髑髏に身体を打ち付ける度に、純白の美しい毛並みは赤黒いものに浸食されていく。
「ねぇ、ディオウ、もうやめてー!」
半泣きのラキィは、へたりと地面に座り込んでいた。
「ラキィさん、一体何が……」
「あんた、治療師の……!」
こくりと頷いて、ユウは次の言葉を待つ。
「アズウェルが、アズウェルがあの髑髏に食べられちゃったの!」
「そんな……!?」
「お願い、ディオウを止めて! あのばか、力ずくで止めなきゃずっと身体をぶつけ続けるわ!」
視線をラキィからディオウに移す。
痛々しい姿のディオウは、傷などものともせずにひたすら叫び続けている。
「アズウェル!!」
ユウは籠から小瓶を取り出すと、ラキィに努めて冷静に言った。
「ディオウさんの怪我を治します……!」
◇ ◇ ◇
目の前で死んだはずの〝母親〟に、ショウゴの両目は釘付けられていた。
『ショウゴ! あれは幻だ!』
ソウエンが必死に訴えかける。
『もう十数年も前に死んだ人間が生きているわけがないだろう!?』
「そんなことないヨ。ワタシの仮面はネ、その仮面のニンゲンの顔に化けれるんだヨ。そしてさっきも言ったように、コレはニンゲンそのものなんだヨ」
不気味な声の発信源は、ゼノンではない。何故なら、ソウエンには聞こえていないからだ。
ショウゴの頭の中だけに響くそれは、相方の言葉をことごとく否定し、過去の傷を抉る。
「ホラ、思い出してみなヨ。あの時、キミに見えた敵はどんなヤツ……?」
「あの時いたのは……」
ショウゴの目が大きく見開かれ、
「嘘……だ……」
『おい、しっかりしろ!!』
ソウエンが肩を揺するが、両膝をついたショウゴは、相方を見ていない。何処か遠い彼方を愕然と見つめていた。
反応のないショウゴに、ソウエンは苦虫を噛み潰したように唸る。
『この馬鹿が……!』
色を失ったショウゴは、今にも倒れそうだった。
どうする。これではクエンたちに助太刀するどころの話ではない。
目の前の敵は微笑を浮かべると、その顔の持ち主の声で言う。
「久しぶりね、ショウゴ」
瞠目するソウエンの傍らで、ショウゴの手から刀が滑り落ちた。
◇ ◇ ◇
淡黄の体躯が、突如震えを帯びる。
「あや、しょうごが……!」
焦燥の色に染まるライリンの顔を見つめ、アヤは忌々しげに舌打ちした。
「馬鹿が。未だに引きずってんのか」
だが、戻るわけにはいかないのだ。ここで己の存在を奴らに知られては、今までの努力が水の泡となる。
アヤは苛立ちを胸にしまい込み、自己暗示をかける。
大丈夫だ。ソウエンが傍らにいる。ソウエンなら、ショウゴを守ってくれる。
「りん怖い。すごく怖いにょ……」
不安を煽るライリンの頭をわしゃわしゃと掻き回して、アヤは胸に渦巻く思いを音にする。
「ソウエンがいる。あのへたれは一度燃やされた方がいい」
「でもでもっ」
「リン」
凛とした声音でライリンの抗議を
「託された
そう、自分たちには大きな命がある。そのために、自分は全てを捨ててここにいるのだから。
今戻れば、自分の存在価値など無くなってしまう。
「敵は元を絶たないとね……」
呟かれた言葉に、ライリンは押し黙った。
今のアヤに何を言っても無駄だ。
本音は今すぐにでも駆けつけたいのだろう。その気持ちを殺している使い手に、はぐれ者の自分が何を言えようか。
しょんぼりと
「リン、大丈夫だ。ソウエンを信じろ」
まるで己に言い聞かせるように呟くアヤに、ライリンは告げることができなかった。
◇ ◇ ◇
一瞬クエンの反応が鈍ったことを、ピエールは見逃さなかった。
アキラの風がクエンを八つ裂きにする。
体中に
「兄さま! クエン!」
ミズナが声を上げるが、クエンの耳には届かない。
「どうした、クエン」
『ソウエンが……消えた』
「何だと!?」
目を剥くルーティングは、背後に殺気を感じて咄嗟にクエンを突き飛ばす。
『相棒!』
ルーティングの左肩を玄鳥が貫く。
頬に付いた返り血を拭い、アキラは冷たく微笑んだ。
クエンは自分の情けなさに吐き気がした。
今、一気に劣勢になった。その原因を作ったのは僅かな気の迷い。
歯を食いしばり、ルーティングの肩越しにアキラの顔面を蹴り飛ばす。
アキラは、そう簡単に玄鳥を手放してはくれない。
アキラと共にルーティングの肩から離れた白刃は朱に染まり、宙に血飛沫が舞い散った。
『ごめん、俺のせいで……』
「大丈夫だ」
即答したルーティングの瞳は、まだ諦めていなかった。
「クエン、何があった」
静かに問う使い手に、クエンは泣き出しそうな表情になる。
守り神の中で一番感情を表に出すクエンは、鬼神というより少年の方が似合っている。頼りがいのある相棒だが、弟分のようなものだ。
そんな
『ソウエンが……ソウエンがどこにもいないんだ。気が感じられない』
「ショウゴが蒼焔を手放したと言うことか」
『違うんだ。放しただけなら俺は感じることができる。そうじゃねぇんだ。ソウエン自体の存在が感じられねぇんだ』
絞り出す言葉はとても弱々しかった。
勝ち目が刻一刻と薄れていく。
「……そうか」
平静を装っているルーティングも、立ち上がるのがやっとの状態だった。
今は堪え忍ぶしかない。
徐々にだが、アキラの動きも遅くなってきた。
感情や感覚がないとはいえ、身体には確実にそれまでの痛みや疲労が積み重なっている。降臨を続けていられるのも後僅かだろう。
降臨が解かれれば、こちらにも勝機が見えてくる。
「クエン、まだ、諦めるな……!」
『わかって……る……!』
太刀音が一つ響く度に空の闇が深まり、全てを呑み込もうと黒雲が
暗闇の中でピエールが口端を吊り上げた。
「サテ、もうじき終演デスね」
風と炎の影に身を潜ませている
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コメント
- こんばんは。22話付近からこんな(°皿°)顔で読んでます。
ピエールが本当にもう……グーで殴りたい位の悪役ですね。悪役としては最高なんですがああ本当もうコイツ!
味方が少しずつ戦闘不能になっている今、誰が頑張ってくれるんだ!?と心配しながら進んでます。楽しみです。
あと少々私事ですがパソコン復活しましたのでリンク繋がせて下さいませ(*^^*)よろしくお願いします☆
- >>若野さん
こんばんは、読み進めて下さりありがとうございます♪
ピエールは……今のところ最強最凶最狂の三冠王ですw
さぁ無事切り抜けられるのか! あと4話で第一部は終了ですので、お楽しみにっ!
おお、復活おめでとうございます♪
もちろんです、是非是非宜しくお願い致します><