[戯言]冷却シートの成れの果て
頭をぱかっと開いて脳みそをゴシゴシ洗いたい気分の桜木です、こんばんは。
[更新]か[戯言]か迷いましたが、「とりあえず四苦八苦して35記上げました」くらいですので、
戯言カテゴリーにしちゃいました。
もうこんな時間ですけど、夕食食べに外に行きたい気分です。流浪したい。無駄に。
[更新]か[戯言]か迷いましたが、「とりあえず四苦八苦して35記上げました」くらいですので、
戯言カテゴリーにしちゃいました。
もうこんな時間ですけど、夕食食べに外に行きたい気分です。流浪したい。無駄に。
閑話休題、頭がショートしてるので冷却シートでも貼ろうと冷蔵庫を開いたのですが、
なんか使いかけのがパキパキになっておられました。
一袋に2枚入っているのですが、1枚目使ったのは確か3月30日から31日にかけてですね。
忘れもしませんっ! 某友人が買ってきてくれたのです。
あの時はホントに救急車かと思いました。食中りって恐ろしいですね、風邪よりも遥かに恐ろしいです。
流石に4ヶ月半前ともなればパキパキになりますか……。
半分奥の方は使えそうだったので、ぺたっとおでこに張ってみましたが、ものの5分でぬくとくなりました。
自分の頭が恨めしい。
新しく封を切るのは勿体無いので、アイスでも食べるとします!(夕飯は?って聞いちゃダメ。
なんか使いかけのがパキパキになっておられました。
一袋に2枚入っているのですが、1枚目使ったのは確か3月30日から31日にかけてですね。
忘れもしませんっ! 某友人が買ってきてくれたのです。
あの時はホントに救急車かと思いました。食中りって恐ろしいですね、風邪よりも遥かに恐ろしいです。
流石に4ヶ月半前ともなればパキパキになりますか……。
半分奥の方は使えそうだったので、ぺたっとおでこに張ってみましたが、ものの5分でぬくとくなりました。
自分の頭が恨めしい。
新しく封を切るのは勿体無いので、アイスでも食べるとします!(夕飯は?って聞いちゃダメ。
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2010/08/14 (Sat) 20:34 |
- 戯言 |
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第35記 妖精の森
一面に広がる白詰草を踏みしめ、丘の上から前方を見やる。
視界には、白い帽子を被った山々と、入道雲が流れる青い空。
漆黒の短髪を風に流し、男は紅い右目をすっと細めた。
俺の声が、聞こえるか?
◇ ◇ ◇
「……東は、向こうだ」
ゆっくりとタカトが腕を上げる。
その指が示す方向は。
「タカト殿、そっちは……」
「タカト、西だぜ?」
目を瞬 かせる二人に、タカトは背負っている布を降ろし、中から方位磁針を取り出す。
「……東は、向こうだ」
先ほどと全く同じ声音で繰り返したタカトは、方位磁針をアズウェルに手渡した。
青く澄んだガラス玉。
玉の中で回転している細い金の針は、本来なら北を指すものだった。
定まらない針を見つめて、アズウェルが首を傾げる。
「これ壊れてる?」
「まさか。出発前に私が確認したが、そんなことはなかった」
否定したマツザワもアズウェルの手中を覗き込む。
しかし、針は止まることを知らず、回転を続けていた。
「……本当に止まらないな」
「うーん、目が回る……」
「それくらいにしておけ、アズウェル。酔うぞ」
「う、うん」
ディオウの注意を受けて、アズウェルは釘付けになっている視線を無理矢理剥がす。
「どういうことなんだ?」
自分たちが行こうとしていた〝東〟と、正反対を指したタカトを顧みる。
ディオウよりも更に低い声で、タカトは言った。
「……ここは、磁場が、歪んでいる」
「そうなの、ラキィ?」
「え、えぇ。東は、あの子が指す方向よ」
ディオウの頭上にいるラキィも、タカトが示した方角を翼のような形をした耳で指し示す。
「何故、タカト殿はこちらが東だとわかったのだ?」
マツザワもアズウェルも迷わず〝東〟に進んだ。直後に地声を張り上げ、タカトは二人を制止させたのだ。
体内に磁石を宿している、と言われているトゥルーメンズのラキィなら、話はわかる。
だが、タカトはマツザワと同じスワロウ族のはず。
「……そう、言っている」
「一体誰が」
言葉を返す変わりにしゃがみ込み、タカトは黄土色[ の砂を片手で掬[ い上げた。
「砂がしゃべった、とかいうわけ……じゃねぇよな?」
「……そう、言っている」
「マジかよ……」
砂は風に乗り、アズウェルたちの視界を流れていく。
己の手元から旅立っていく砂たちを、タカトは無言で見つめていた。
「おまえ、スワロウ族ではないな」
瞳に光を灯らせ、ディオウがタカトを見据える。
「自然界と会話が出来る種族が、二十年前までいたはずだ」
黒装束で身を包んだ青年は、赤褐色の瞳を僅かに細めた。
「……俺が、生き残りだ」
その呟きは、意識していなければ聞き取れなかっただろう。
風に掻き消されそうなほど、小さな声。
感情が押し込められた言葉を聞き、ラキィが目を丸くした。
「じゃあ、あんたはスワロウ族じゃなくて、ホントはヴァルト族ってこと?」
「ラキィ、ヴァルト族って何?」
「アズウェルには教えてないわね。お姉さんは知ってる?」
同族と思っていた者の正体に瞠目していたマツザワは、左右に首を振った。
ラキィの瞳が、哀しげに揺れる。
「ヴァルトはね。エルフとは違うんだけど、自然と仲が良い種族なの。土や風、木々や草花。あたしたち動物と同じように、彼らと会話が出来るのよ。でも、二十年前に……」
「絶滅した、と聞いている」
言葉に詰まったラキィの後を継いで、ディオウが静かに告げた。
絶滅した理由は、各地で噂になったが、どれも不確かなものばかり。
自然を愛するリウォード族に、最も近いとされていたヴァルト族。
しかし、絶滅から二十年経った今、彼らは語り部たちのみによって伝えられるおとぎ話になっていた。
「……すまない」
「え、何で謝るんだよ、いきな」
「足を、止めた」
アズウェルの言葉を遮り、タカトは足早に東へ向かって歩いていく。
話すことさえできないマツザワと、立ち尽くすアズウェルを残し、ディオウも大地を蹴った。
感情を押し殺している若者の傍らにふわりと降り立ち、低く呟く。
「悪い。聞くべきではなかったな」
その声にタカトは目だけを向けた。
自分に向けられているものは、凛とした黄金の双眸と揺らぐ紅い瞳。
今にも泣き出しそうなラキィの頭をそっと撫で、淡い微笑みを目元に浮かべる。
「……いや」
一族の、消滅。
それは形だけでなく、人々の記憶からも消えてゆくものだ。
疾[ うに忘れ去られたと思っていた。
「……名を、覚えていてくれて、ありがとう」
今は、自分しかいないけれど。
それでも、確かに。
此処に、いるのだから。
ふと、アズウェルは我に返る。
既に三人は、遙か先を歩いていた。
「やっべぇ、おれたち置いてかれるっ! マツザワ、走るぜ!」
呆然としているマツザワをせっつくと、アズウェルは駈け出した。
「え……あ、あぁ……!」
棒と化していた足を動かし、マツザワも砂の丘を駆け下りていく。
刹那、景色が歪んだ。
「な、なんだ?」
マツザワの声に振り返ったアズウェルが、眉根を寄せた。
「今、なんかぐらってなんなかった?」
「アズウェルにも見えたのか?」
「うん……一瞬だけだけど」
無言で見つめ合った二人は、同時に東へ目を向ける。
「馬鹿な……」
「さっきは、なかったよな?」
アズウェルが目を眇めて訊くと、マツザワは頷いて肯定の意を示す。
二人は突如姿を現した緑をじっと見据えた。
「あれが、ディオウが言ってた妖精の森……?」
地平線に沿って、緑が続いている。その果ては、見えない。
黄ばんだ風が徐々に透き通り、森の入口を明確にする。
「ああ。恐らくあれが、フェイラーの森だ」
悠然と構える緑に瞳を細め、アズウェルは記憶にある地図を引き出す。
確か、この先には。
「……行こう、マツザワ。ディオウたちが待ってる」
「あぁ、そうだな」
そう言って再び走り出した二人の背を、生暖かい風が押した。
ちらりとアズウェルは肩越しに視線を投じる。
もう、遺跡は見えない。タカトやラキィ無しでは同じ場所に戻ることはできないだろう。先刻までいたとは思えないほど、色が歪んでいる。
左隣で靡[ いているマツザワの黒髪を見ながら、アズウェルは床に伏せるアキラを思い起こした。
ミズナのこと、頼んます。
進めば進むほど黄土色に濁りゆく景色を背に、心の中で強く頷く。
ちゃんと、連れて帰る。
そう誓って、アズウェルは暇そうにひょんひょんと尻尾を動かしている聖獣に片手を振った。
「おーい、ディオーウ!」
呼びかけに応じるように、一瞬動きを止めた尾が左右に揺れる。
タカトの横に辿り着くと、アズウェルは息を長く吐き出した。
「やぁーっと追いついた!」
「遅いぞ、アズウェル」
「ディオウたちが歩くのはえーんだよ」
両膝に手を当てて深呼吸をしながら、アズウェルがディオウを一瞥する。
「待たせてすまない」
「どうってことないわ」
頭を下げるマツザワに笑いかけて、ラキィは乗っていたディオウの頭から飛び立った。
「それより、ねぇ、お兄さん。ホントにここに入るの?」
目の前で両耳を羽ばたかせて浮いているラキィに、タカトは無言のまま首を縦に振る。
ディオウたちが待っていた場所は森の入り口。
地は草で覆われ、天の光は木の葉で遮られている。中は薄暗い。
「それにしても、大きな森だな」
マツザワは巨木の一つに手を当てた。
樹齢数百年は越えているだろう。ワツキの神社にある神木でも、ここまで太く、背の高い樹ではなかった。見上げても、とても高さなど測れない。
「とにかく、マスターを探すんだろ? タカトの能力があれば、樹から聞けるんじゃねぇかな?」
「……やって、みる」
頭[ を振ったタカトを見つめ、マツザワがアズウェルの提案に同意する。
「それが今のところ最良だろう」
「よっしゃ! そんじゃ、行くぜっ!」
アズウェルは右手で拳を作ると、左の手の平に勢い良く叩きつける。
「妖精の森!!」
その声を合図に、一同森の中へと足を踏み入れた。
◇ ◇ ◇
木々がざわめく。
大樹の枝に身を委ねている青年が、面倒臭そうに呟いた。
「侵入者、発見。報告。塵[ が四匹。捕獲対象、一匹」
ノイズ混じりの返答を聞いて、にやりと嗤[ う。
「俺一人で十分だ」
賛同するかのように、風が鳴き、木の葉が唸る。
彼には、木々が味方してくれる。
「塵の掃除だな」
森中に、一つの言霊が響き渡った。
招かれざる者を、始末せよ。
視界には、白い帽子を被った山々と、入道雲が流れる青い空。
漆黒の短髪を風に流し、男は紅い右目をすっと細めた。
◇ ◇ ◇
「……東は、向こうだ」
ゆっくりとタカトが腕を上げる。
その指が示す方向は。
「タカト殿、そっちは……」
「タカト、西だぜ?」
目を
「……東は、向こうだ」
先ほどと全く同じ声音で繰り返したタカトは、方位磁針をアズウェルに手渡した。
青く澄んだガラス玉。
玉の中で回転している細い金の針は、本来なら北を指すものだった。
定まらない針を見つめて、アズウェルが首を傾げる。
「これ壊れてる?」
「まさか。出発前に私が確認したが、そんなことはなかった」
否定したマツザワもアズウェルの手中を覗き込む。
しかし、針は止まることを知らず、回転を続けていた。
「……本当に止まらないな」
「うーん、目が回る……」
「それくらいにしておけ、アズウェル。酔うぞ」
「う、うん」
ディオウの注意を受けて、アズウェルは釘付けになっている視線を無理矢理剥がす。
「どういうことなんだ?」
自分たちが行こうとしていた〝東〟と、正反対を指したタカトを顧みる。
ディオウよりも更に低い声で、タカトは言った。
「……ここは、磁場が、歪んでいる」
「そうなの、ラキィ?」
「え、えぇ。東は、あの子が指す方向よ」
ディオウの頭上にいるラキィも、タカトが示した方角を翼のような形をした耳で指し示す。
「何故、タカト殿はこちらが東だとわかったのだ?」
マツザワもアズウェルも迷わず〝東〟に進んだ。直後に地声を張り上げ、タカトは二人を制止させたのだ。
体内に磁石を宿している、と言われているトゥルーメンズのラキィなら、話はわかる。
だが、タカトはマツザワと同じスワロウ族のはず。
「……そう、言っている」
「一体誰が」
言葉を返す変わりにしゃがみ込み、タカトは
「砂がしゃべった、とかいうわけ……じゃねぇよな?」
「……そう、言っている」
「マジかよ……」
砂は風に乗り、アズウェルたちの視界を流れていく。
己の手元から旅立っていく砂たちを、タカトは無言で見つめていた。
「おまえ、スワロウ族ではないな」
瞳に光を灯らせ、ディオウがタカトを見据える。
「自然界と会話が出来る種族が、二十年前までいたはずだ」
黒装束で身を包んだ青年は、赤褐色の瞳を僅かに細めた。
「……俺が、生き残りだ」
その呟きは、意識していなければ聞き取れなかっただろう。
風に掻き消されそうなほど、小さな声。
感情が押し込められた言葉を聞き、ラキィが目を丸くした。
「じゃあ、あんたはスワロウ族じゃなくて、ホントはヴァルト族ってこと?」
「ラキィ、ヴァルト族って何?」
「アズウェルには教えてないわね。お姉さんは知ってる?」
同族と思っていた者の正体に瞠目していたマツザワは、左右に首を振った。
ラキィの瞳が、哀しげに揺れる。
「ヴァルトはね。エルフとは違うんだけど、自然と仲が良い種族なの。土や風、木々や草花。あたしたち動物と同じように、彼らと会話が出来るのよ。でも、二十年前に……」
「絶滅した、と聞いている」
言葉に詰まったラキィの後を継いで、ディオウが静かに告げた。
絶滅した理由は、各地で噂になったが、どれも不確かなものばかり。
自然を愛するリウォード族に、最も近いとされていたヴァルト族。
しかし、絶滅から二十年経った今、彼らは語り部たちのみによって伝えられるおとぎ話になっていた。
「……すまない」
「え、何で謝るんだよ、いきな」
「足を、止めた」
アズウェルの言葉を遮り、タカトは足早に東へ向かって歩いていく。
話すことさえできないマツザワと、立ち尽くすアズウェルを残し、ディオウも大地を蹴った。
感情を押し殺している若者の傍らにふわりと降り立ち、低く呟く。
「悪い。聞くべきではなかったな」
その声にタカトは目だけを向けた。
自分に向けられているものは、凛とした黄金の双眸と揺らぐ紅い瞳。
今にも泣き出しそうなラキィの頭をそっと撫で、淡い微笑みを目元に浮かべる。
「……いや」
一族の、消滅。
それは形だけでなく、人々の記憶からも消えてゆくものだ。
「……名を、覚えていてくれて、ありがとう」
今は、自分しかいないけれど。
それでも、確かに。
此処に、いるのだから。
ふと、アズウェルは我に返る。
既に三人は、遙か先を歩いていた。
「やっべぇ、おれたち置いてかれるっ! マツザワ、走るぜ!」
呆然としているマツザワをせっつくと、アズウェルは駈け出した。
「え……あ、あぁ……!」
棒と化していた足を動かし、マツザワも砂の丘を駆け下りていく。
刹那、景色が歪んだ。
「な、なんだ?」
マツザワの声に振り返ったアズウェルが、眉根を寄せた。
「今、なんかぐらってなんなかった?」
「アズウェルにも見えたのか?」
「うん……一瞬だけだけど」
無言で見つめ合った二人は、同時に東へ目を向ける。
「馬鹿な……」
「さっきは、なかったよな?」
アズウェルが目を眇めて訊くと、マツザワは頷いて肯定の意を示す。
二人は突如姿を現した緑をじっと見据えた。
「あれが、ディオウが言ってた妖精の森……?」
地平線に沿って、緑が続いている。その果ては、見えない。
黄ばんだ風が徐々に透き通り、森の入口を明確にする。
「ああ。恐らくあれが、フェイラーの森だ」
悠然と構える緑に瞳を細め、アズウェルは記憶にある地図を引き出す。
確か、この先には。
「……行こう、マツザワ。ディオウたちが待ってる」
「あぁ、そうだな」
そう言って再び走り出した二人の背を、生暖かい風が押した。
ちらりとアズウェルは肩越しに視線を投じる。
もう、遺跡は見えない。タカトやラキィ無しでは同じ場所に戻ることはできないだろう。先刻までいたとは思えないほど、色が歪んでいる。
左隣で
進めば進むほど黄土色に濁りゆく景色を背に、心の中で強く頷く。
ちゃんと、連れて帰る。
そう誓って、アズウェルは暇そうにひょんひょんと尻尾を動かしている聖獣に片手を振った。
「おーい、ディオーウ!」
呼びかけに応じるように、一瞬動きを止めた尾が左右に揺れる。
タカトの横に辿り着くと、アズウェルは息を長く吐き出した。
「やぁーっと追いついた!」
「遅いぞ、アズウェル」
「ディオウたちが歩くのはえーんだよ」
両膝に手を当てて深呼吸をしながら、アズウェルがディオウを一瞥する。
「待たせてすまない」
「どうってことないわ」
頭を下げるマツザワに笑いかけて、ラキィは乗っていたディオウの頭から飛び立った。
「それより、ねぇ、お兄さん。ホントにここに入るの?」
目の前で両耳を羽ばたかせて浮いているラキィに、タカトは無言のまま首を縦に振る。
ディオウたちが待っていた場所は森の入り口。
地は草で覆われ、天の光は木の葉で遮られている。中は薄暗い。
「それにしても、大きな森だな」
マツザワは巨木の一つに手を当てた。
樹齢数百年は越えているだろう。ワツキの神社にある神木でも、ここまで太く、背の高い樹ではなかった。見上げても、とても高さなど測れない。
「とにかく、マスターを探すんだろ? タカトの能力があれば、樹から聞けるんじゃねぇかな?」
「……やって、みる」
「それが今のところ最良だろう」
「よっしゃ! そんじゃ、行くぜっ!」
アズウェルは右手で拳を作ると、左の手の平に勢い良く叩きつける。
「妖精の森!!」
その声を合図に、一同森の中へと足を踏み入れた。
◇ ◇ ◇
木々がざわめく。
大樹の枝に身を委ねている青年が、面倒臭そうに呟いた。
「侵入者、発見。報告。
ノイズ混じりの返答を聞いて、にやりと
「俺一人で十分だ」
賛同するかのように、風が鳴き、木の葉が唸る。
彼には、木々が味方してくれる。
「塵の掃除だな」
森中に、一つの言霊が響き渡った。